ブレスレット、とめて

ロマンティックではなく、ブレスレットがとまらない・・・かなり古いぞ、いやスマスマで稲垣がやってたから今流行りかも・・・私はその店で途方にくれていた。何でこんなことができない?ふらふらと迷い込んだアクセサリー屋で、好きな石のひとつ、フローライトに目がとまり、私はそのブレスレットを購入した。
仕事を辞めようかとも考えているのに、衝動買いしていいのか?と強めのツッコミが入ったものの、守護能力の強い石を今私はひどく必要としているんだ、と打ち負かし買ったのだった。
購入の際、私は店員にあることを訊いた。・・・あの、ブレスレットってどうやってつけるのがいいんですか?
店員は一瞬きょとんとしていたが、その後そうかそうか、と優しく私に教えてくれた。いろんなやり方を実演を交えて。が私は一向にできない。体をいろいろに傾け、手をくねらせ、もがく女。
思わずつぶやいた。一体、私は何をやってるんでしょうね・・・。それを聞いて店員の顔に浮かぶ苦笑。まあ、朝急いでるときにはやらないほうがいいですねー。力を入れると切れちゃいますからねー。
ますますのプレッシャーを感じる。ここでつけられなければ家でも絶対つけられない。なぜなら、家で何分も格闘して結局付けられず、ブレスレットを投げつけたことが何度もあるからだ。だから店でようやく付けられた時の安堵感といったら。しばらく外したくなかった。

昔から、人が簡単にできることが自分にはうまくできないことがよくあった。周りの人はなぜあんなにたやすく、すいすいとこなしていけるのか不思議だった。そしてできない自分が情けなかった。たとえば、簡単な機械のふたが見つからないとか、くぎがまっすぐに打てないとか、無印の簡易本棚を組み立てるのに半日かかり、くたびれ果てて翌日熱が出たとか、インターネットの接続方法が分からず、数ヶ月間モデムを放置していたとか、とにかくたくさん。
私は職場でも時にはなはだしく、ある担当事業では、屋内スリッパを履いたまま参加者とバスに乗り込み、出発してから指摘され、宿にバスごと戻ったことがある。関係者の爆笑を誘いこの話は伝説となった。私のこの部分を人間味があっていいと言ってくれる人もいて有難いが、私としては長年自分のこの有様を見ているので落ち込むことも多い。
手際良くテキトウに仕事を片付けたり、テキトウに愛想良く皆と付き合うことが難なくできる人を、大きな羨望と軽い軽蔑の眼差しで私はいつも見つめている。
明日ブレスつけられるだろうか・・・。早起きせねば。



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Author:フローライト
☆連絡先 : seraphinitedeepgreen@yahoo.co.jp
☆尊敬する人物:広末アイドル絶頂期に「マジで屁が出る5秒前」を歌った嘉門達夫
☆好きな食べ物:みかん、たいやき
☆大事な本:ドイツ鎮魂歌、アステリオーンの家(ボルヘス)、ハドリアヌス帝の回想(ユルスナール)、近代能楽集(三島由紀夫)、黒い時計の旅、Xのアーチ(エリクソン)、ムーミン谷の冬(ヤンソン)、ユルスナールの靴、ヴェネツィアの宿(須賀敦子)、怪物(アゴタ・クリストフ)
☆よく聴く音楽:クラシック、ジャズ、アルゼンチンタンゴ、R&B(70年代)
☆印象深い映画:春夏秋冬そして春(2002韓国=ドイツ)、ムッシュ・カステラの恋(2002フランス)、オアシス(2002 韓国)
☆好きな言葉(というか惹かれる音):ビビデバビデブー、ボボ・ブラジル、マントヒヒ

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